カテゴリ: 「こころのお知らせけいじばん」

こころのお知らせけいじばん「子ども自身もメールで相談」

子ども自身もメールで相談
 
 
子どもの成長には、家庭以外の場でたくさんの大人と触れ合うことが必要です。遠くの親戚、園の先生、担任の先生、かかりつけのお医者さん、習い事の先生やコーチ、近所のおじさんおばさん、お年寄り・・・。

かかわりの中で、社会のルールや各人の役割を学びます。そして家族以外との付き合い方、マナーの練習をします。さらにモデルとなる年長者を見つけ、真似をするようになります。

大人の方も、何くれとなく関わりながら、居場所を提供してくれ、話し相手をし、困りごとも聞いてくれます。子どもにとって楽しみ、成長、ストレス解消、SOS発信の場となります。

しかし今、コロナ禍で外出が思うように出来ず、家庭の中で子どもが孤独になる時間が増えています。かかわり事態が減っており、いろんな感情を吐き出す場もなかなか無いでしょう。

家庭での会話、スキンシップ、室内遊びなどで感情はある程度吐き出せますが、外にも良いつながりがたくさんあった方が楽になります。

離れた知人と手紙、電話、メール、SNSというのは、大人だけでなく子どもにも有効な気分転換になります。

また、子ども自身がメールを出して相談することのできる所もあります。
 
「こころ×子どもメール相談」https://www.ncchd.go.jp/news/2021/210108.html

 
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「こころのお知らせけいじばん」は
精神科専門医いわもとあきこさんによる連載です。

こころのお知らせけいじばん「コロナによる子どもへのストレス」

コロナによる子どもへのストレス

「コロナ×こどもアンケート」というオンライン・匿名のアンケート調査があります。
このアンケートにより、学校再開後も子どもにとってはずいぶんつらい状況であることが明らかになりました。

なんと、7割以上の子どもにストレス症状がみられたと言うのです。
アンケートで子どもの4割は「集中できない」という回答をしています。高校生以上に限ればもっと多く、半数以上が「集中できない」と回答しています。
 また、子どもの5人に1人は「寝付けない」「夜に目が覚める」といいます。
 さらに、自分を傷つけてしまう、家族に暴力を振ってしまうという回答も1割です。

このような症状が出ていても、単なる問題行動として見逃してしまい、ストレスが原因とは子ども自身も保護者も気づくことは難しいものです。
自分でストレス状態に気づくことは、果たしてできるのでしょうか?これは、大人でも非常に難しく、なかなかできることではありません。
でも、方法が全くないわけではありません。ストレスに関するアンケートに答えるというのも、ひとつの方法なのです。

国立成育医療研究センターの「コロナ×こどもアンケート」という調査ですが、アンケートに答える本人にも、効果が出るように工夫されています。アンケートに答えることによって、気分を吐き出すことになり、少しスッキリします。そして、自分を振り返ることができます。そして、自分の気持ち、状態に気づくことができます。
もちろん、アンケートは本部によって集計・解析され、社会への情報発信に役立ちます。

コロナ×こどもアンケート
https://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/survey.html
 
 
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こころのお知らせ掲示板「相次ぐ有名人自殺のニュース」

 最近、悲しいニュースが続いています。良く知る人気有名人の自殺のニュースなら、大人も子どもも動揺するのはごく当たり前の感情です。亡くなった有名人のファンだったり、年代や性別が同じだったり、似た境遇だったり・・・自分との接点が多いと特に、重ねて考えてしまいます。健康な人でも気持ちが引きずられます。メンタルの悩みを抱えている人なら、なおさら引きずられて悪い方に考えるのも無理はありません。ましてや、自分自身も死にたい気持ちを抱えているのなら・・・。
 有名人の自殺のニュースに関して、相手が未成年だったりすると、話題にするのをためらう気持ちがあるかも知れません。でも、自殺という事柄をわかる年齢なら、しかもショックを受けたという気持ちがあるようなら、無理に話題に蓋をする必要はありません。ショッキングな出来事に対する自由な気持ちを批判せずに聞いてあげましょう。うまく言葉を返せなくても、ありのままの気持ちを受け止め自然と寄り添うだけでも十分です。
 私自身もメンタルで治療中の方から「あの人の自殺はショックだった」などの話題をもちかけられますが「正直に言ってくれて良かった」と感じます。ひとりで抱え込まず、話した方が良いのです。そしてさらに、「自分も死にたい気持ちが無いわけじゃないから、考えてしまう」という方も・・・。それも正直に言ってくれて良いのです。言ってくれることにより、さらに安全な方向性を目指すことができるのです。精神科の治療では、死にたい気持ちを正直に話題にしたことにより背中を押すとは考えられていません(ただし、そのような気持ちがあるにもかかわらず、まだ専門家に全く相談していないなら、早急に下記に相談することをお勧めします)。
 最後に、最近はマスコミによる報道の仕方も配慮されてはいますが、あまりのめり込んで見過ぎないように・・・。ネットでの検索はやめてテレビのニュースも1日に決まった物を1つだけにするなど、ほどほどが良いです。気持ちが引きずられるようなことがあれば、助けを求めて相談して下さい。身近な人を通じて、または自分で、相談できる所とつながって下さい。

いのち支える相談窓口一覧   https://jssc.ncnp.go.jp/soudan.php

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精神科専門医いわもとあきこさんによる連載です。

こころのお知らせ掲示板「自粛疲れ」

新型コロナウィルス感染症による自粛生活も、長くなってきました。子ども、大人とも、ストレスがたまってきています。

家の中でイライラしていませんか?夜に眠れなくなっていませんか?昼夜逆転気味になっていませんか?これは子どもだけでなく、大人にも当てはまる話です。

大人でも「コロナのことが心配で、出かける先もなく、気分が沈む。しょうがないからテレビを見ると、コロナのニュースばかりで、ますます気分が沈む」という人が多いです。
子どもはより影響を受けやすいので、落ち着きがなくなったり、赤ちゃんがえりをしたり、わがままになったり、逆に急に素直になったり、いつもと様子が変わることもあります。
 
どうすればよいのでしょうか?この問題は、いま世界中の小児やメンタルの関係者間で話題になっています。
まずは、小さなことですが、いつもと同じ時間に寝る、いつもと同じ時間に起きる、食事は規則正しく、学校に行っている時のように勉強もする・・など、日常のリズムを続けることが大事です。体を動かして疲れないと寝付けないのは当然ですが、子どもは頭も疲れないと寝付けないのです。しりとりをしながら早足で足踏みなど、年齢により遊び方にも工夫が必要です。
そして、どんな感情にもフタをしないで聞いてあげること。コロナへの不安は、人間としてあたりまえの感情なのだから、共感してあげてください。

でも、保護者も疲れ果てているはずです。働きながら家事も育児も背負っているお母さんなら、なおさらです。保護者の疲れを気づかう声も、増えてきています。
下記は国立成育医療研究センターのページです。「子育て中のあなたへ」など
https://www.ncchd.go.jp/news/2020/20200410.html

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精神科専門医いわもとあきこさんによる連載です。

こころのお知らせけいじばん「統合失調症」

 統合失調症は、およそ100人に1人と言われる病気です。100人に1人というのは、いろいろな病気の中でもかなり多い方に入ります。
 15歳以下で発症することも、珍しくありません。

 原因は、生物学的な素因から環境・ストレスまで、さまざまな要素が合わさっていると言われています。
 一卵性双生児でも発症する子と発症しない子に分かれることもあり、発症には後天的な要素も大きく関係するようです。

 幻覚や妄想の存在が診断に重要ですが、子どもの場合、はっきり診断できないことも多く、その場合は統合失調症に準じて慎重に経過を追う事が必要です。
 強迫行為(手を何度も洗わないと気持ち悪い、同じことを何度も確認しないと気が済まない、おまじないのような儀式をしないと気が済まないなど)や、カッとなりやすさなどが目立つ場合もあります。
 治療は、大人と同様に、この20年間で日本で発売された第二世代抗精神病薬による薬物療法などが中心となります。また、再発を繰り返さないように、病気の特徴を理解し環境を調整することも長い経過では必要になります。
 長期的な経過は、治療への取り組み方や、家族の協力により大きく改善します。
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精神科専門医いわもとあきこさんによる連載です。

こころのお知らせけいじばん「スマホ依存」

新型肺炎対策の休校が続き、子ども達のスマホ使用時間も長くなりがちです。
スマホは上手に使えば、家に居ても友達とつながれる便利な道具です。でも、スマホに生活を振り回されないように、大人がみてあげることも必要です。

日本では、半数以上の人がスマホを持つようになり、徐々に子どもも持つようになっています。これまでインターネット依存やゲーム依存が医療でも取り上げられてきましたが、スマホ依存はその両方の問題をあわせ持ちます。

各国で“スマホ依存スケール“が作成されています。これはスマホ依存の度合いを点数化して、重症度を簡易的に判定するチェックリストです。思春期用のチェックリストもあります。「スマホの使用により授業や宿題に集中できない」「スマホ無しでは我慢できない」「LINEやツイッターなどのメッセージのやり取りを見逃さないように、いつもスマホを確認している」など10項目の物です。ある調査によると、若者のおよそ4人に1人がスマホ依存を疑われる点数でした。依存は女性の方がわずかに多く、女性の主な使用目的はSNSでした。

スマホを使い過ぎると、時間を浪費して学業や仕事に差し支えるだけではありません。睡眠障害などの精神科的な問題、さらにスマホを持つ指の変形や痛み、眼の症状、頭痛や肩こりなど、身体に症状が出ることもあります。

対策はまだ研究中の分野ですが、まずは自分の使用状況を把握することが大切です。スマホの使用時間を測定できるアプリはいくつもあります。また、SNS上の相手に気をつかい過ぎる若者の場合は、スマホの設定でSNSの通知をオフにするのも有効だと言われています。そのことを周囲の友人にも伝えて、自分のペースで着信メッセージの確認を行うのです。
スマホ依存の対策は、まだまだ研究途上です。


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